いわゆるモデル就業規則や他社の就業規則を参考に作成した規則だったために 「社員に甘すぎる」「無駄にコストがかかりすぎる」部分を変更したい。という要望も よく聞きます。
就業規則を変更するといっても、労働者に有利な変更はともかく、従来の労働条件を 不利益になるように変更することが出来るのかが問題となってきます。
就業規則の作成・変更について、労働者の同意は基本的には必要ないとはいえ、 労働者にとって不利益な労働条件を一方的に課すような就業規則の作成又は変更が 使用者に許されるかというと、原則として認められていません。
しかし、労働条件を不利益に変更する場合であっても、変更することに合理的な理由が ある限り、判例も就業規則の不利益変更を認めています。(秋北バス事件、最高裁昭和43年)
この合理的な理由は,具体的には,次の事情等を総合考慮して判断すべきと されています。 ・ 労働者が被る不利益の程度 ・ 使用者側の変更の必要性の内容・程度 ・ 変更後の就業規則の内容自体の相当性 ・ 代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況 ・ 労働組合等との交渉の経緯,他の労働組合又は他の従業員の対応 ・ 同種事項に関する我が国社会における一般的状況等
要するに、合理的であるかどうかは、就業規則変更の必要性と労働者の受ける不利益を 比較考量して、ケースバイケースで判断すべきということです。
その部分だけをみれば不利益にみえても、結果として会社・社員双方に利益になる、 若しくは会社の状況として仕方がないことを理解してもらうための十分な説明 (社員説明会の実施等) が必要となってくるでしょう。 こうしたケースはよほど注意しないと労使トラブルの引き金になりかねません。 変更を検討する際は、専門家である社労士にご相談ください。
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